60歳以上の女性の美容医療トラブルが高額化!
-しわ取り注射で1,300万円もの請求が-
2016年9月15日 独立行政法人国民生活センター 発表資料より
全国の消費生活センター等に寄せられた美容医療サービス(※)に関する相談をみると、60歳以上の相談件数は2014年度がピークであるものの、契約購入金額は年々高額化しています。
自由診療が中心である美容医療では、施術費用は個々のクリニックで自由に設定できます。しかし、注射を数本打たれ1,000万円前後の請求を受けた事例が複数みられる等、深刻な高額請求トラブルが60歳以上の女性を中心に発生しています。また、料金が明確な基準に基づいて請求されているのか不明である事例や、施術費用を明確にしないまま施術をされた後で高額請求された事例等、費用に関するトラブルが目立ちます。
(※)美容医療サービスとは、医師による医療のうち、「専ら美容の向上を目的として行われる医療サービス」を指し、医療脱毛、脂肪吸引、豊胸手術、二重まぶた手術、包茎手術、審美歯科等が主な施術である。
相談事例
【事例1】 しわ伸ばしのためにクリニックに行ったら即日施術され、約1,300万円を請求された
【事例2】 相談のつもりで訪れたクリニックでしつこく勧誘され、帰るために即日施術をしてしまった
【事例3】 クリニックでリフトアップの注射をした。一部支払ったが、効果の説明や高額な請求に納得がいかない
【事例4】 目の下のたるみを取る注射をしたが、5年間保証なのに全く効果がなく、対応もされない
【事例5】 腹部の脂肪溶解注射を勧められ、当日に施術したが、対応がずさんで高額すぎる。効果も感じられず解約したい
【事例6】 クリニックで口の周りのしわを取る施術を受けたが、腫れがひかない。ずさんな施術なのに高額な支払いに納得ができない
相談事例からみられる問題点
・きっかけは「折り込み広告」
・医師でないクリニックのスタッフが医療行為をしている可能性
・効果を強調するが、根拠は不明確、即日施術を迫るケースも
・料金体系が不透明、支払える金額によって料金が変わる
・苦情が申し立てにくい、「異議申し立てしない」という誓約書に署名させられている
消費者へのアドバイス
・リスクなく簡単にきれいになれるとうたう広告をうのみにしないようにしましょう
・医師の担当する範囲や施術の流れを十分に確認しましょう
・想定した金額より高額な料金を提示された場合には、契約しないことを伝えましょう。特に、希望しない即日施術ははっきり断りましょう
・やむなく高額な契約をしてトラブルとなった場合等には、消費生活センターに相談しましょう
2016年9月15日 独立行政法人国民生活センター 発表資料はこちらから
◆くらしのフレッシュ便No.104「相談ファイル」(広島県)よりアドバイス
美容医療サービスの中には、脱毛のように複数回の施術を行うことで効果が得られるものがあり、特定商取引法の特定継続的役務提供のエステティックサービスに類似するサービスもあります。
しかし医療サービスであれば特定継続的役務提供の定義に該当しないと解釈されているため、クーリング・オフや中途解約などの規定が適用されません。
施術の内容や契約について十分に説明を受け、冷静に考えて納得した上で施術を受けるようにしましょう。