「平成30年7月豪雨」で寄せられた消費生活相談情報
-発生2カ月にみる相談の推移-
2018年10月4日 独立行政法人国民生活センター 発表資料より
西日本を中心に発生した「平成30年7月豪雨」(以下、「7月豪雨」と言います)に関連する消費生活相談が、全国の消費生活センターおよび国民生活センターに寄せられています。7月豪雨の発生から2カ月間で、どのような相談が寄せられているのかについて取りまとめました。
相談概要
★2018年7月5日以降に寄せられた7月豪雨に関連した相談は、2018年9月5日までの2カ月間で575件となっています。
2カ月間の相談を約7日ごとに分けてみると、7月11日までの7日間に最も多くの相談が寄せられ、それ以降の相談は減少傾向にあります。
★豪雨発生直後は、予約していた旅行や外食等のキャンセルに関する相談や宅配便が届かないなどの相談が多く寄せられていましたが、時間の経過とともに通信関係、保険関係など生活インフラや金融サービスに関連した相談が増えてきています。
★被災11府県からの相談では、賃貸住宅の修理や家賃の支払いに関する相談を含む「レンタル・リース・貸借」が上位になっています。それ以外の地域からの相談では、旅行を予定していた地域が7月豪雨で被災したことによる航空券や高速バスなどの欠航・運休についての相談を含む「運輸・通信サービス」が最も多くなっています。
相談事例
災害に関連して寄せられた相談
【事例1】賃貸アパートの1階が浸水し、修繕のために1カ月以内に退去するよう言われた
豪雨災害で、賃貸アパートの1階が浸水した。自分が住んでいる2階に被害はなかったが、工事の際に1階を空にするので、防犯上危険があること、早く修繕を始めたいこと等を理由に、1カ月以内に退去するよう言われた。同じ貸主が管理する別物件に転居するなら家賃3カ月分を免除するとのことだが、近隣に対象物件はない。さらに、立ち退き料などの補償もないことに不満を感じる。 (30歳代、男性、岡山県)
【事例2】コンサートが豪雨で中止になったが、チケット払い戻し期限が過ぎていると言われた
コンサートが豪雨災害で中止になった。払い戻してもらおうと代金を支払ったコンビニに出向いたら、「払い戻し期限が過ぎているためできない」と言われた。主催者に電話を掛けても分からないという。チケット発券サービス払込票の注意書きに、「公演の延期・中止等による払い戻しは、発券店でのみ行わせていただきます」とあるが、期限についての記載はない。(70歳代、女性、広島県)
災害に便乗した悪質商法に関する相談
【事例3】「火災保険を使えば無料」と説明され、壁工事と瓦修理の契約をした
「壁がひび割れて、屋根瓦がずれているので、火災保険を使って無料で修理しませんか」と業者が訪問してきた。業者は天井のしみを確認したり屋根に上ったり1時間ほど調べた後、「先日の豪雨と地震で保険が下りるだろう」と言ったので、契約した。後は私が保険会社に審査を依頼すればよいとのことだが、契約書面等はなく名刺をもらっただけである。怪しいのではないか。(70歳代、男性、福岡県)
【事例4】スマートフォンに「7月豪雨災害見舞いと復旧のための義援金」というメールが届いた
利用している大手携帯電話会社を名乗る業者からのメールで、「7月豪雨災害見舞いと復旧のための義援金に関する口座振替日およびお支払金額確定のご案内」と書かれていた。約2万円を登録口座に入れるように書かれており、URLが表示されている。(60歳代、女性、長野県)
まとめ
(1)被災地からは、住宅関連の相談が多く寄せられた
被災地からの相談では、賃貸アパートや住宅のリフォーム工事などの住宅関係の相談が多く寄せられていることが分かります。また、水没した自動車のローンに関するものや修理に関するものなど、自動車の水没に関連する相談が複数寄せられました。
(2)被災地以外の地域からは、旅行等のキャンセルや災害義援金の相談が寄せられた
豪雨発生直後は、7月豪雨の被害を受けた地域への旅行を取りやめたことに伴う、ホテルや航空券、高速バス等のキャンセルに関する相談が多く寄せられました。豪雨発生からしばらくすると、被災地支援をかたったトラブルに関する相談が寄せられるようになりました。
(3)住宅修理工事に関するトラブルや悪質商法には引き続き十分な注意が必要
住宅の修理などの工事をする際は、可能な限り複数の業者から見積もりを取って比較検討し、工事内容や価格に関して不明な点があれば、事業者に確認したり、周囲に相談したりした上で、契約するようにしましょう。また、豪雨災害に関連づけた悪質商法については、被災地に限らず全国的に発生するおそれがありますので注意が必要です。
2018年10月4日 独立行政法人国民生活センター 発表資料はこちらから