安全な暮らしを高齢者と共に
~事故を防ぐ注意ポイントを紹介~
2018年9月13日 NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)発表情報より
NITE(ナイト)が収集した、2013年度から2017年度の製品事故情報のうち、高齢者の死亡及び重傷事故は290件報告されています。高齢者の事故は「石油・電気ストーブ」「介護ベッド及び関連製品」「電動車いす」などで多く発生しています。
高齢者の死亡及び重傷事故は、事故の原因が製品の使い方によるものが半数を超えています。特に介護ベッド及び関連製品の事故は、介護者が使い方を誤ったり、目を離したりした際に発生した事故もあります。事故の防止には、使用者本人だけでなく家族や周囲の方々の注意や使い方への理解も重要です。
安全に生活を送るため、高齢者の事故を防ぐためのポイントを紹介します。
事故事例
【事例1】石油ストーブカートリッジタンクへの給油後、給油口キャップを斜め締めにしていたため石油ストーブへ戻す際に灯油がこぼれ、拭き取りが不十分であったため、点火時に灯油に引火し、火災が発生。住宅1棟を全焼し、隣接する建物8棟を焼損して、1人が死亡、1人が重傷を負った。(2016年2月、大分県、男性)
【事例2】介護ベッドの隙間に手を入れた状態で、リモコンを使ってベッドの背上げ操作を行ったため、手が抜けなくなり、持ち上がってきたベッドマットと介護ベッド用手すりの間に手を挟まれ重傷を負った。(2015年10月、東京都、男性)
【事例3】電動車いすで工事現場の誘導路(道幅約1m)を走行していた際に運転操作を誤り、工事用の穴に転落し、死亡した。(2014年9月、宮崎県、男性)
【事例4】約29年間にわたる長期使用により、扇風機の電気部品であるコンデンサーが経年劣化し、異常発熱して出火し、重傷を負った。(2013年8月、大阪府、女性)
事故を防ぐためのポイント
★高齢者の死亡事故が最も多い製品はストーブです。ストーブの誤った使い方、慣れによる油断は禁物です。心配な場合は、給油口キャップが閉まったことを確認しやすく改良された製品への買い換えを検討しましょう。
★介護ベッド及び関連製品による死亡・重傷事故で最も多いのが、ベッド周りの隙間に頭や首など身体を挟まれる事故です。介護者は介護ベッドの手すりなどの隙間に細心の注意を払いましょう。
★電動車いすは操作や速度に慣れましょう。体調不良の際は運転させない、工事中の道や踏切を横断するルートは極力控えるなど、高齢者本人だけでなく家族や周囲の方々も気を配りましょう。
★高齢者の方は、機器が不調でも使い方が変わることを敬遠するなどの理由から、家電やガス・石油機器などを古くなっても買い替えず、壊れるまで使い続けてしまう傾向があります。今後高齢者世帯数の増加に伴い、家電などの経年劣化による火災事故などの発生も増加していくことが懸念されています。家族や周囲の方々は、日頃から高齢者の身近にある製品に対して注意を配りましょう。
2018年9月13日 NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)発表情報はこちらから