2023年2月1日 独立行政法人国民生活センター公表資料より
賃貸住宅に関するいろいろな相談のうち、退去時の「原状回復」に関する相談が約4割を占めており、2月から4月にかけて相談が増えるという傾向がみられます。賃貸借契約における「原状回復」とは何か、トラブルを防ぐにはどうしたらよいか、などを注意喚起します。
事例
★敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求された。
★アパートを退去した際、自分では通常損耗だと思う箇所の修繕費用や、契約書に記載のない費用を請求され納得できない。
「原状回復」とは
賃貸借契約の「原状回復」とは、借主の故意・過失によって賃貸住宅に生じたキズや汚れ(損傷)等、また、借主が通常の使用方法とはいえないような使い方をしたことで生じた損傷等を元に戻すことをいいます。賃貸借契約が終了した時、借主は、賃貸住宅の原状回復を行う義務を負います。しかし、普通に使っていて生じた通常損耗や、年月の経過による経年変化については、原状回復を行う義務はありません。
原状回復に関するトラブルの特徴と問題点
原状回復が問題となる退去時は、契約締結時から相当の時間が経過しているため、入居時の状況がわかるような記録が残っていないと、経年変化にあたるかどうか、客観的な判断が難しいことがあります。原状回復に関する借主と貸主の費用分担については、それぞれの契約内容や賃貸住宅の状況などによって異なるため、トラブルになりやすいという特徴があります。
消費者へのアドバイス
★契約する前に、契約内容の説明をよく聞き、契約書類の記載内容をよく確認しましょう。
★入居する時には、賃貸住宅の現在の状況をよく確認し、気になるところは写真に撮るなど記録に残しましょう。
★入居中にトラブルが起きたら、すぐに貸主側に相談しましょう。
★退去時には、精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求めましょう。
◆納得できない場合やトラブルになった場合は消費生活センター(消費者ホットライン188等)に相談してください。