介護用品での事故

独立行政法人国民生活センター くらしの危険291号より

加齢により身体の機能が衰えてきたときに、行動をサポートするための便利な用品がいろいろと出ています。 しかし、そもそも身体が不自由な状態で使うものなので、ちょっとした操作ミスや不具合が、思いがけず大きな事故を招いてしまう危険もあります。使用方法等に注意しつつ、生活に役立てましょう。

こんな事故が起きています

ケース1 補聴器

購入した補聴器を使用すると耳鳴りがして体調不良になる。電話をしたら修理してくれたが、試したところやはり同じように耳鳴りが始まった。再度修理してもらうことになったが、せっかく高いお金を出したのに同じ状況なら返品したい。(80歳代 女性)

ケース2 シルバーカー(買い物などに使う手押し車)

母がシルバーカーを使用中、後輪に足を引っ掛け転倒した。じん帯を損傷して入院した。購入後2回目の使用だった。(80歳代 女性)

ケース3 電動カート

父が電動カートに乗っていたら坂道でブレーキが利かず、石垣にぶつけて止め、足に3針縫うけがをした。(70歳代 男性)

ケース4 介護用ベッド

レンタルの介護ベッドについている手すりのロックが勝手にはずれ、半身不随の妻が転落して大腿骨を骨折した。(60歳代 女性)

ケース5 風呂用具

要介護の母が、入浴用の折りたたみ式のシャワーベンチを使用中、壊れてしりもちをついた。主要なネジが細く短く、それがはずれて壊れたようだ。(70歳代 女性)

事故を防ぐために

★介護用品や機器にはいろいろな種類があります。介護の程度や目的に応じて選びましょう。介護認定を受けている人は、ケアマネージャーや専門店とよく相談し、レンタル品も上手に使いましょう。

★JISマークやSGマークがついているものは、それぞれの規格・基準を満たしており、一定の品質や安全性が認められているものです。選ぶ際の参考にしましょう。

★補聴器を使用するときは

・補聴器は医療機器です。利用を考えるときは、耳鼻科の診察を受けた上で、業界の認定制度の下で一定の基準を満たした販売店で購入しましょう。
・補聴器は、一人一人微妙な調整が必要なものであり、慣れるまで時間もかかります。フィッティングを受けて、自分にあった補聴器を選びましょう。

★歩行補助車(シルバーカー)を使用するときは

・シルバーカーは、手すりなどを使用しなくても自分で歩行できる人用です。歩行に不安のある人はケアマネージャーなどとよく相談し、目的や身体にあった商品を選択しましょう。
・ショッピングカートを歩行補助車として使用してはいけません。

★電動3・4輪車(電動カート、シニアカー)を使用するときは

・街中でスムーズな操作ができるよう、安全な場所でよく練習をしましょう。
・下り坂では、慎重な操作を心がけましょう。歩道では加害者になる可能性もあるので十分注意しましょう。
・思わぬところで動かなくなってしまわないように、バッテリーの状態を常に把握しておきましょう。

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