県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
社会福祉協議会による「福祉サービス利用援助事業(かけはし)」の紹介
福祉サービス利用援助事業「かけはし」(以下、「かけはし」と言います。)は、一人でものごとを決めることが不安な人に対し、契約を結ぶことにより、日々の暮らしに必要な福祉サービスの利用手続きやお金の管理のお手伝いをして、安心して暮らせるよう支援する事業です。
社会福祉法人 広島県社会福祉協議会 地域福祉課の的場淳子さんにお話を伺いました。
☆利用について
認知症や障害などによって判断能力の低下がみられ、本人に利用する意思があり、契約をする能力がある方が利用できます。(障害者手帳を持っていない人や認知症の診断を受けていない人でも利用できます)
※契約をする能力のない方は成年後見制度を利用することができます。
☆支援の内容
支援内容 | 利用料 |
① 福祉サービスの利用手続きのお手伝い | 1回につき1500円 |
② 生活に必要なお金の出し入れのお手伝い | |
③ 通帳や印鑑、大切な書類などのお預かり | 1か月1500円 |
平成26年6月末の時点で、県社会福祉協議会で把握している県内22市町(広島市を除く)での「かけはし」の利用者は843人です。そのうち「①福祉サービスの利用手続きのお手伝い」の契約は全員の方、「②生活に必要なお金の出し入れのお手伝い」の契約者は824人、「③通帳や印鑑、大切な書類などのお預かり」の契約者は777人です。
☆支援の流れ
1、相談
お住まいの市町社会福祉協議会へご相談ください。
家族の方・民生委員・ケアマネジャーなど関係者からの相談でも大丈夫です。
2、訪問
「かけはし」を担当している社会福祉協議会の職員である『かけはし専門員』がご自宅を訪問し、お困りごとや本人の希望をお伺いします。
3、支援計画の策定
『かけはし専門員』が、本人の希望にもとづいて、どのような支援を行うかを関係機関と連携して検討し、支援計画を策定します。
4、契約
本人とお住まいの市町社会福祉協議会と広島県社会福祉協議会との三者契約を締結します(広島市の場合は、本人と広島市社会福祉協議会との二者契約)。
また、契約は本人の意思にもとづいて、いつでもやめることができます。
5、支援の開始
『生活支援員』(※1)が、支援計画にそって定期的に本人のもとに伺い、福祉サービスの利用手続きや預貯金の出し入れなどをお手伝いします。
支援の開始後も、支援内容を変えたい時や心配ごとがあれば、『かけはし専門員』が相談に伺います。
(※1)『生活支援員』の担い手は、社会福祉協議会から委嘱を受けた地域住民の皆様です。
高齢化にともない、「かけはし」の利用人数は年々増え続けていますが、それを支える『生活支援員』の方が不足しています。
『生活支援員』になるための資格や経験は問いません。同じ地域に住む人同士、「お互いが安心して暮らせる地域づくりのために力になりたい」と言う方は、是非ご協力ください。
☆「かけはし」によって地域とのつながりが出来た事例
ゴミを片付けず、近所からも浮いているAさんが、民生委員や地域包括支援センターとのつながりから「かけはし」の利用を開始しました。『生活支援員』が、Aさんのお宅に訪問するようになり、それまでAさんを避けていた近所の方たちも、「最近はこんな風に生活をしているよ」などとAさんを気にかけて声をかけてくれるようになりました。専門職の関係機関との繋がりも大切ですが、地域とのつながりは何よりも大切なものです。地域からの孤立を防ぐことに「かけはし」がお役にたてた事例です。
「かけはし」について、とても熱心にお話しをしてくださった的場さん、ありがとうございました。現在、「かけはし」の利用者の多くが、周りの方々からの気付きによって利用を開始しているそうです。日常生活やお金の管理ができなくなっていることに本人はなかなか気づきません。身近な高齢者の方の様子が普段と違う等、「あれ?どうしたのかな?」と感じた時には、是非お住まいの市町社会福祉協議会に相談してみてください。
「かけはし」の利用によって、利用者の方が住み慣れた地域で安心して生活ができるようになっていただきたいです。