県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
北広島町にて「高齢者等見守り研修」が開催されました
3月5日、北広島町役場 芸北支所にて、北広島町民生委員児童委員芸北地区協議会の3月定例会が行われ、委員研修として「高齢者等見守り研修」が開催され、講師に消費者ネット広島の理事であり広島県生活センター相談員の川手三枝子さんをお迎えして15名の方が受講されました。
「消費者被害の防止と見守りについて」
(講師 広島県生活センター 消費生活相談員 川手三枝子さん)
高齢者を狙った消費者トラブルが後を絶ちません。平成25年度の広島県の相談状況では、65歳以上の方からの相談が約3分の1を占め、相談件数、被害額とも年々増え続けています。
悪質業者は、高齢者を狙っています。高齢者自身が被害にあわないよう注意することはもちろんですが、それだけでは被害をくい止めることはできません。
見守り活動は決して難しいことではありません。
地域の皆さんが、普段の暮らしの中で、高齢者と交流をはかり、様子を気にかけてあげることです。それが、高齢者を消費者被害から守ることにつながります。
◇見守り活動の流れ
1. 日頃から高齢者と交流をはかり、信頼関係を作りましょう。
2. 高齢者の様子の変化に気づいたら、声をかけてあげてください。
☆どんな様子に注意すればいいのか、気づきのポイント
・開けていないダンボールや見慣れない商品がある
・たくさんのダイレクトメールや請求書などの郵便物が届いている
・急に節約を始めた
・急に外出が増えた
・見慣れない人がよく出入りしている
など、普段と違う様子が見られる
3. 「もしかしたらトラブルかもしれない」と思われたら、消費生活センターへの相談を勧めてください。高齢者が被害にあわないよう、被害にあっても被害が少なくなるように、皆さんのご協力をお願いします。
被害にあっても、恥ずかしくて相談できない方もいらっしゃいます。そのような場合には、「だまされた方が悪いんじゃない、だました方が悪いんですよ。誰にでも起こることだから恥ずかしがらなくて大丈夫ですよ」などと、自尊心を傷つけない声かけをしていただき、相談窓口につなげてください。
◇様々な事例の特徴や注意点
1. 訪問販売
・最近の訪問販売の営業員はとても優しいので、仲良くなってしまい、必要のない商品でも、つい買ってあげてしまう。このようなケースでは、本人が被害にあっていることに気づかない場合が多いため、周りの方の気づきが大切です。
・訪問販売で特に多い相談は布団です。宝石がついた高額の眼鏡の事例もあります。
・訪問販売の場合は、申込み書面・契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ制度」があります。
・クーリング・オフ期間を過ぎていてもあきらめないでください。
訪問販売で大量の商品を購入契約した場合には、「過量販売解除権」により、契約後1年間は契約を解除することができます。
寝具の場合、通常過量には当たらないと考えられる分量の目安が「原則一人が使用する量として一組」とされています。ただ、枕、シーツ、毛布等は含まれない等、様々なケースがありますので、消費生活センターにご相談ください。
2. 点検商法
・点検などと称して訪問し、高額な商品やサービスを売りつける商法です。
・高齢者の「住宅」に対する不安につけ込み、住宅の改修工事を行うケースがよくあります。
工事をする場合は、「本当に必要な工事か」「その業者は信頼できるか」「金額は適切か」を考えるよう、注意してあげてください。
3. 催眠商法
・日用品の無料配布や格安販売をしながら、次第に高価な商品を買わせる手口です。
・皆さんの地区で催眠商法と思われる事業者がいたら、「無料(格安)で商品を配っているらしいけど、高いものを買わされるようだ」など注意喚起をお願いします。
4. 送りつけ商法
・注文をしていないのに、一方的に商品を送りつけてきて代金を請求する販売方法です。
・注文していない商品が届いた場合、事業者に商品の引き取りを要請した場合は請求した日から7日間以内、引き取りを要請しなかった場合は商品が送られてきた日から14日間以内に事業者が引き取りに来なければ、その商品は自由に処分することができます。
しかし、最近では高額な商品が多く、事業者が前もって電話をしておくケースなどもあるため、消費生活センターに相談してください。
5. 体験談商法
・利用者の体験談を利用して、広告・勧誘する商法です。
・健康食品に多く見られますが、健康食品は医薬品ではありません。健康食品には、効果の検証が義務付けられていません。購入する場合には、広告などに惑わされず、慎重に吟味してください。
・「返金保証付き」とあっても、全額返金されるための条件がいろいろと設定されている場合が多いので、注意が必要です。(例、箱を処分していたら返品できない)
・4月からは、規制が緩和され、「機能性表示食品制度」が始まります。事業者が科学的根拠を消費者庁に届け出れば、国の審査なしに、事業者の責任で容器などに健康への効果を表示できる制度です。
消費者は、ますます厳しい目をもって商品を選ばないといけなくなります。
◇参加者の感想
・安心して消費生活センターに相談できることが分かり、心強く思いました。
・もうダメかもとあきらめずに相談することを学びました。
・日頃からのコミュニケーションが大切だと改めて思いました
川手さんは、『相談窓口には、相談者の代わりに民生委員さんから電話がかかることがよくあります。相談者の隣でテキパキと要領をつかんで質問されたり、相談員からの話を上手に伝えてくれたり、商品や契約書をきちんと確認してくれたりと、高齢者のためだけでなく、相談員にとってもとても頼りになる存在です。』とおっしゃられていました。
高齢者を見守る中で、何か気になることがあれば、難しく考えず、お気軽に消費生活相談窓口に連絡していただきたいと思います。