差止請求事例集解説セミナーを開催しました
消費者庁主催の「差止請求事例集解説セミナー」が、2月20日に広島県民文化センター5Fサテライトキャンパス大講義室において開催され、事業者や消費者、行政、法曹界等から85名の方に参加いただきました。
2007年6月にできた消費者団体訴訟制度のもとに、この間に全国11の適格消費者団体が行った差止請求※1により、事業者が契約条項を改善する等の成果が出ています。消費者ネット広島も、貸衣装店やカルチャースクール等のキャンセル条項の改善を実現しました。この度のセミナーは、これらの改善事例を事業者や消費生活相談員さんに知っていただき、事業者の自主的な契約書等の見直しや相談業務に役立てていただくことを主な目的として、広島をはじめ全国9か所で開催したものです。
セミナーは広島弁護士会「消費者一座」の皆さんによる寸劇でスタート。「防ごう、へらそう、消費者被害」と題して、悪質な訪問販売事業者の社員研修というシチュエーションで、その手口を、プロ顔負けの演技で紹介。参加者から「あの方たち、本当に弁護士?」との驚きの声も・・・
寸劇の後は、消費者ネット広島の副理事長でもある木村豊弁護士より、消費者団体訴訟制度の説明と消費者契約法などに違反する特徴的な事例について、概要や問題点などを解説いただきました。木村弁護士は、差止請求の対象となった事業者の多くは、団体からの申入れを真摯に受け止め、改善頂いていることを強調されていました。
続いて、消費者庁消費者制度課の宗宮専門官より、昨年12月に成立した「集団的消費者被害回復訴訟制度」(消費者裁判手続特例法)の4つの特徴について説明されました。
★特徴点は以下の通り。
①2段階型の訴訟制度であること。
②第1段階では特定適格消費者団体が裁判し、その様子を見て消費者は2段階目の裁判に参加するかどうか判断できる。
③裁判の対象となる事案は「金銭支払いのある消費者契約」に限定される。
④施行は成立後3年以内(2016年12月)で、今後、ガイドライン等について検討を始める。
会場からは、制度を消費者に知らせることや被害者リストの情報収集などの難しさについて質問があった。
※1 消費者契約法等に違反する契約条項などの使用をしないよう申入れ等をすること
差止請求事例集解説セミナーの様子
広島弁護士会「消費者一座」による寸劇
差止事例の解説をする木村副理事長(弁護士)
集団的消費者被害回復訴訟制度の説明をする
消費者庁消費者制度課 宗宮専門官