県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
安芸太田町にて「高齢消費者等見守りサポーター養成研修会」が開催されました
2月28日、安芸太田町役場東館大集会室で、「高齢消費者等見守りサポーター養成研修会」が開催されました。
高齢者等を狙った詐欺事件や悪質商法による被害が後を絶たない中、消費者被害についての正しい知識があれば、被害を防いだり、万一被害に遭った時でも被害を少なくすることができます。この研修会では、高齢者等の見守りを実際に行っている民生委員児童委員、シニアクラブ、女性会、介護・福祉関係の方、地域の方々、70名が参加され、熱心に学ばれました。
研修の内容
◆第1部◆ 「安心・安全な暮らしのために 高齢者等を守る見守りガイド」
講師 福山市消費生活センター 消費生活相談員 花本 のぞみさん
高齢者等が安心して暮らすためには、地域ぐるみの連携と見守りが大切です。見守りの際の注意点や最近の悪質商法の手口について事例を交え、わかりやすく話されました。
★見守りの際の注意点
・声かけ・・話し合える関係作り
・気づき・・「元気がない」「見慣れない人が出入りしている」
・本人の意思を尊重・・怒らない、否定しない
・信頼関係・・無理に聞こうとせず、寄り添って聞く
★悪質商法の手口と注意点
・「健康食品の送りつけ」では、身に覚えのない商品は、受取を拒否。その際、送りつけてきた業者の名前や住所等をメモしておくように。
・最近多い「光回線やプロバイダ契約トラブル」は、口頭での契約も可能であり、クーリング・オフもできないため、電話で勧誘されてもすぐに契約しないよう気を付けてほしい。
・消費者被害を未然に防ぐためには、最新の正しい情報を得ることが大切。
情報源として、国民生活センターの「見守り新鮮情報」と消費者ネット広島の「見守りねっと」を紹介。
◆第2部◆ 「見守り活動の大切さ」
講師 安芸太田町民生委員児童委員 伊藤 幸子さん
見守り活動の中で起こった実際の事例として、高額な布団を買わされた高齢者の方が、民生委員さんに相談し、消費生活相談窓口の助言によりクーリング・オフ出来た事例を詳しく紹介してくださいました。
◆第3部◆ 「身近な被害 悪徳商法の手口と対策」
講師 山県警察署生活安全刑事課生活安全係 主任 上村 英生さん
実際の被害事例を紹介され、被害防止のためには、地域の連携と、不審に思うことがあれば、誰かに相談し、110番通報することが大切だと話されました。
★被害防止のためには
① 情報を得る
広島県警のメールマガジンを紹介。
② 民生委員・郵便局・役場・警察等が連携
何か不審なことがあったら、110番を!
通報された情報が、実際には問題のない情報であったとしても、通報された方に迷惑をかけることはないので、おかしいと思ったことは通報してほしい。
③ 不審な電話や勧誘は無視
悪質業者の話術は非常に巧妙なので、話を聞かないのが一番。
④ 一呼吸おく
よく考え、相手のペースにのまれないように。
とにかく誰かに相談を。
◆参加された方からの感想◆
・高齢の方と話す機会が多いので、民生委員さんと協力していきたい。
・日頃から地域の人との連携を深めておくことが必要である。
・身近に多くある話のようで、大変参考になった。お互いに注意しあって見守りあいたいと思う。
・地域へ帰って話します。(広げます。)
・高齢者の方と話をする機会も多く、できるだけ「詐欺って多いんだよ」と言うことを伝えたいと思った。
・具体事例の話は大変参考になるが、1人暮らしの人は一人で訪問販売員等と対応することとなるので、そうした時の対応は地域の人との連携を深めておくことが必要であると思う。
高齢消費者等見守りサポーター養成研修会のキャッチフレーズは「まもろう ふせごう つながろう」です。高齢者等の消費者被害の未然防止・問題解決のためには、見守りの大切さの再認識、地域の関連機関との連携が大切です。
研修を受けられた方の感想を聞き、皆様が熱心に学び、さらに学んだことを生かそうとしていらっしゃることがよくわかりました。
研修会終了後に、講師の安芸太田町民生委員児童委員 伊藤幸子さんと、安芸太田町産業振興課 冨岡治恵さんにお話を伺いましたのでご紹介します。
安芸太田町民生委員児童委員 伊藤 幸子さんのお話
民生委員児童委員の伊藤さんは、受け持ち80世帯、そのうち65才以上の独居の方14人を担当し、月に1~2回訪問するそうです。毎月ある民生委員会の他にも、社会福祉協議会の開くサロン、地域包括支援センターの会議、老人会等にも出席し、高齢者に身近な人達皆で情報共有をし、相談をし合っているそうです。
地域の関連機関との連携を日頃から大切にしているからこそ、研修会で話されたような消費者被害の防止ができたのだと思います。
また、伊藤さんは、「自分も騙されそうになったことがあるが、家族に相談したため被害に遭わなかったことがある。大きな買い物をする時には、必ず誰かに相談し、本当に自分に必要な物なのかどうかをよく考えるようにしてほしい。」と話されていました。
安芸太田町産業振興課 冨岡 治恵さんのお話
安芸太田町では、消費者被害を防ぐため、消費生活相談室を新設し、弁護士相談会や啓発講座、見守りサポーター研修等を熱心に行っています。
安芸太田町の消費相談窓口では、25年度の相談が2月21日の時点で81件あり、相談の内容で多いものは、仏壇の修繕、寝具の訪問販売、健康食品の送りつけです。
また、民生委員さんや地域の方々との連携にも力をいれ、25年度の相談のうち15件では、民生委員さん、自治会長さん等の協力により被害の防止ができました。
冨岡さんのモットーは「相談に来られるのを待つのではなく、自分から出向いて行く」だそうです。この言葉通り、積極的に消費者相談に取組まれ、地域の皆様の力強い味方になっていらっしゃいます。