県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
呉市にて「高齢消費者等見守りサポーター養成研修会」が開催されました
3月13日、呉市 つばき会館で、「高齢消費者等見守りサポーター養成研修会」が開催されました。講師に呉市消費生活センター 消費生活相談員の石橋奉功さん、呉警察署 生活安全課長の村尾隆之さんをお迎えして、高齢者等の見守りを実際に行っている民生委員児童委員、介護・福祉関係の方々、約60名が受講され、熱心に学ばれました。
研修の内容
第1部 消費者被害の防止と見守りについて
(講師 呉市消費生活センター 消費生活相談員 石橋奉功(いしばし ともこ)さん)
全国の消費生活センターに寄せられた平成25年度の相談状況をみると、高齢者(65歳以上)からの相談件数が急増しています。販売形態では、訪問販売が減少傾向、電話勧誘販売が増加しています。訪問販売の場合は、周りの方も気づきやすいのですが、電話勧誘販売の場合は分かりづらいため、日頃から地域でつながっていることがより大切になってきます。
◇事例を知ろう
★劇場型買え買え詐欺
・複数の会社から「A社の社債を購入すれば高値で買い取る」「名義を貸して」などと言ってパンフレットを送付したり、電話で勧誘したりしてきます。立場の違う複数の業者が役割を分担して、消費者をだまそうとする手口です。
・最近多いのは、老人ホームの入居権に関するものですが、未公開株、東京オリンピック入場券、ダイヤモンド等、その時期に社会で流行っているものでだまそうとします。
・買え買え詐欺では、角形2号(A4用紙が入るサイズ)の封筒に入ったパンフレットが送られてくる事が多いため、「このくらいの大きさの不審な封筒が来たら気をつけてよ、教えてよ」とひとり暮らしの高齢者に日頃から声かけしておいたらどうでしょうか。
この他、還付金詐欺、プロバイダの遠隔操作による強引な勧誘、無料点検等、様々な手口を紹介。
◇クーリング・オフについて学ぼう
・クーリング・オフとは、訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入などの取引の場合に、契約書を受け取った日から8日以内に書面で通知すれば、無条件で契約解除ができる制度です。
通知は、証拠が残るように、ハガキの両面をコピーし、特定記録郵便で送付します。
・8日を過ぎてしまっていても、あきらめず消費生活センターへ相談してください。契約を取り消すことができる場合もあります。
・通信販売には、クーリング・オフ制度がありません。購入する際には、返品特約をしっかり確認することが大事です。
◇高齢者の消費者被害を防ぐには
・様々な手口の事例を知りましょう。
・「どうされましたか」「変わったことはないですか」「私の家にも怪しい電話があったのですよ」「電話がたくさんかかってきて、困っていませんか」等と日頃から話をし、地域で連携して見守ることが必要です。
・高齢者は被害にあっても、誰にも相談しない場合があります。「相談することは恥ずかしいことじゃないよ」と、相談機関につないでください。
・被害にあった時だけでなく、被害がない場合でも情報提供をお願いします。地域の方をトラブルから守ることにつながります。
◇相談があった場合、私たち相談員は、被害救済につながるようアドバイスしたり、場合によっては、業者との間に入りあっせんを行ったり、どうしたら良いかを共に考えます。消費生活センターは身近な相談機関です。何か気になることがあれば気軽に相談してください。消費生活センターも地域の皆様とつながりを持ちたいのです。
第2部 悪質商法の手口と被害について
(講師 呉警察署 生活安全課長 村尾隆之さん)
犯罪件数は年々減っていますが、特殊詐欺の被害件数は増え続け、深刻な状況となっています。広島県警でも様々な対応をしていますが、高齢者一人一人になかなか情報が伝わりません。そこで、高齢者と一番身近に接しておられる皆様方に、声掛けをしていただき、注意喚起をお願いします。
◇特殊詐欺の被害状況
平成26年中の広島県の特殊詐欺の被害額は16億円を超え、過去最高を記録した平成25年中の10億円をさらに上回りました。呉市でも2億円を超える被害が出ています。被害者のほとんどが高齢者であり、独居の方が多いのも特徴です。
◇詐欺の手口
★還付金詐欺
公的機関を名乗り、「医療費還付があります」「過払い金があります」と近くのスーパーのATMへ誘い出す。一度に引き出せる限度額に近い数字を「あなたのお客様番号です」と教えられ、携帯電話で犯人の指示通りにATMの操作をすると、お客様番号だと思っていた数字の額を振り込む操作をさせられている。
★架空請求詐欺
「呉市で難病を治す研究施設ができます。難病で苦しむ人のために出資をお願いします」と勧誘され、断ったにもかかわらず、「もうあなた名義で1口出資しました。お金はいりませんがあなたの名義だけ貸してください」と、再度電話がある。その後、「名義貸しは犯罪だ。逮捕される。全財産を没収される」「あなただけ助けてあげる。全財産が没収されるのを防ぐために一旦私に預けなさい。必ず返金しますが、手続きに1か月かかります」等と犯人に巧みに誘導され被害にあってしまう。
◇高齢者宅へ訪問の際には、「知らない相手から電話がかかってきたら相手にしない。お金の話が出たら詐欺だからすぐに電話を切る。出来るだけ留守番電話にしておく」と注意喚起をしてください。また、高齢者が外出するのを見かけた際には、「どこ行くん?」「何かあったん?」と声掛けをお願いします。特殊詐欺の被害を少しでも無くしたい、そのためにも皆様のお力をお貸しください。
受講された方からは、「地域の高齢者の見守り・声掛けを、自治会・女性会等と連携していけたら」「日頃、テレビ等で話題になっているが、他人事のように感じていた。身近な事例を交えての研修で役にたった」「一人暮らしの方に、今日学んだことを、しっかりとお話ししようと改めて思った」と言った声が寄せられました。
皆様の周りの高齢者の異変に気づくためにも、今回のような講座を受講するなど、情報を得る機会を作っていただき、異変に気づいた時は、消費生活センターや警察への相談につなげ、高齢者を消費者被害から守っていただきたいと思います。