高齢者の死亡・重傷事故を防ぐために
~ストーブ、介護ベッド及び関連製品、脚立、電動車いすなどの事故に注意~
2017年9月14日 N I T E (ナイト)独立行政法人製品評価技術基盤機構 発表資料より
平成24年度から平成28年度の5年間にNITEが収集した製品事故情報は11,655件で、そのうち被害者の年齢が判明した事故は4840件ありました。そして、4,840件中、1,280件が65歳以上の高齢者の事故です。
高齢者の死亡及び重傷事故は事故の原因が製品の使い方によるものが約6割と多く、事故の防止には、高齢者本人だけでなく家族や周囲の方々の注意や理解も重要です。
高齢者の事故を防ぐためのポイント
高齢者の事故を、65歳以上70歳未満、70歳以上80歳未満、80歳以上で整理すると、事故の発生状況に差があり、年代が上がるにつれて被害の程度が重篤化する傾向にあります。また、事故発生件数の多い製品にも差があり、それぞれ気を付けるポイントがあります。
【70歳以上の皆様へ】
■死亡事故が最も多いストーブに注意
高齢者の死亡事故が最も多い製品はストーブです。石油ストーブのカートリッジタンクのふたを十分に締めていなかったものや石油ファンヒーターへのガソリンの誤給油などが多く、これらの事故は他の年代ではあまり見られないことから、握力や判断力の低下など高齢者の身体・感覚機能の低下が関係していると思われます。
■注意するポイント
今一度正しい使い方を確認する。
・給油の際は必ず消火する。
・給油作業後はカートリッジタンクのふたが確実にしまっていることを繰り返し確認する。
・ガソリンを使う方は灯油と間違えないよう別に保管する。
・安全装置のついた製品に買い替えることも検討する。
【80歳以上の方とご家族や周囲の皆様へ】
■介護ベッド及び関連製品による事故を防ぐには介護者の注意が必要
80歳以上から、介護ベッド及び関連製品による死亡・重傷事故が増えています。80歳以上の事故は、介護ベッドの挟み込みや暖房機能付き便座の低温やけどなどで、高齢者本人のみならず介護者や家族の不注意による事故が発生しています。
■注意するポイント
周囲が高齢者に配慮する。
・わずかな隙間で介護者が不在の時に高齢者の身体が隙間に挟まれるおそれがあるため、保護カバーを掛けてください。
・高齢者は感覚機能が低下し、異常に気付きにくくなるため、家族や周囲の方々は高齢者の変化を見逃さず、製品の使用を変化に合わせて制限するなどの対応も検討してください。
【屋外などで作業をされる高齢者の方へ】
■脚立・はしご・踏み台からの転落事故に注意
脚立・はしご・踏み台は重傷事故の多い製品です。事故は、庭木などを剪定している際などに発生しています。60歳代から70歳代は体力に自信がある方も多いと思われますが、今まで繰り返し行ってきた作業でも、事故が発生する場合があります。慣れや油断、体力の過信も禁物です。
■注意するポイント
慣れや油断は禁物、注意事項を守る。
・脚立の天板には乗らない。また、天板をまたいでの使用は控える。
・高所作業は必ず補助者を付ける。
・自分の能力を過信せず、年代が上がるにつれ、体力や判断力は低下することを意識する。
2017年9月14日 N I T E (ナイト)独立行政法人製品評価技術基盤機構 発表資料はこちらから