薄型テレビの転倒防止対策の重要性
2012年7月 独立行政法人国民生活センター くらしの危険No.307より
現在、ほとんどの家庭のテレビが地デジ対応の薄型テレビとなっています。しかも、大画面のものが人気です。一見軽そうに見える薄型テレビも、転倒すると危険なものになります。転倒対策をしているとしていないとではどのような違いがあるかを理解して、積極的に対策を図りましょう。
こんな事故が起きています
【事例1】 地震でテレビが転落し破損した。転落は耐震マットの不使用が原因だと思う。販売時に耐震用品の説明をしないのは不当ではないか。(60歳代女性)
【事例2】 42型のテレビが地震で倒れ液晶が粉々になってしまった。小さな子どもが危うく下敷きになるところだった。メーカーに電話をしたら、転倒防止ベルトを勧められなかったかと聞かれた。取扱説明書には転倒防止バンドの記載がある。設置費を払っているのにきちんと設置されていないのは問題である。テレビの転倒は天災ではなく人災だと思う。(60歳代女性)
※事業者には転倒防止措置の義務はありませんが、転倒防止対策の実施や説明がなかったことに不満を感じている事例が半数以上ありました。
テレビの転倒防止対策の効果や表示について
①地震波による振動試験の結果、テレビの大きさや転倒防止対策の方法によって結果に多少の違いがみられましたが、以下のいずれかの転倒防止対策を行うことで転倒や落下を軽減できることが確認できました
・木ネジでテレビスタンドをテレビ台に固定
・壁に紐で固定
・市販の粘着マットを使用
②全銘柄の取扱説明書に、転倒防止対策に関する警告や注意表示がみられました
テストの対象銘柄に同梱されている取扱説明書やカタログ、製造事業者のウェブサイトの転倒防止対策に関する記述を確認しました。その結果、全銘柄の取扱説明書に、転倒防止に関する警告や注意表示がみられました。
③転倒防止対策で使用する部品等は自分で用意する必要がある場合も
テレビの転倒防止対策としては、テレビ台等にテレビのスタンドをネジ等で固定する方法や、テレビ本体を壁や柱などに紐で固定する方法があります。テスト対象銘柄の取扱説明書にもその方法が記載されていました。しかし、固定に使用する部品が添付されていない銘柄もありました。部品等は自分で用意する必要がある場合もあります。
事故を防ぐために
★テレビの転倒防止対策は有効です。特に転倒したときの危険性が高い大型テレビには確実に行いましょう
テスト結果によると転倒防止対策は有効であることが確認されました。これからテレビを購入する場合や、既に購入済みで転倒防止対策を実施していない場合は、テレビの設置状況に応じた転倒防止対策を確実に行いましょう。
テレビの固定方法としてよく使われる粘着マットやネジ等でテレビのスタンドを固定しても、激しい揺れなどでテレビ本体とスタンドをつなぐ部品が損傷すれば、テレビ本体が前に倒れてくる可能性があります。特に大型のテレビでその可能性が高いと思われます。スタンドをテレビに固定するだけでなく、テレビ本体を壁や柱等に固定するとより安全性が高まります。
★テレビの設置を販売店に依頼する場合、転倒防止対策についても相談しましょう
地震に限らず、不意に接触した場合にも転倒の危険性があります。テレビの転倒防止対策はテレビの設置と同時に行いましょう。
自分でするのが難しい場合は販売店に相談しましょう。
2012年7月 独立行政法人国民生活センター くらしの危険No.307はこちらから
(啓発用資料としてご自由にご活用ください)